薬剤部
薬剤部
概要
病院薬剤師は院内の医療スタッフの中で、病因や病態解明に物質面(薬剤)からアプローチし得るという特徴を持っており、薬に関するエキスパートです。我々は薬のスペシャリストとして日常診療のみならず高度医療の現場で、必要な薬の最新情報と知識を提供し、薬物療法の有効性と安全性を支える一員として常に当院の医療を支えています。
そして最近の医療と医薬品の急速な進歩に敏感に反応し、チーム医療の中から多種の疾患に対する有害事象・副作用の回避に努めながら、医師、他の医療職へ知識を提供していくことで、患者さんに高品質で安全・確実な治療を行うための支えとなっていきます。
また薬剤部では、抗がん剤の調製などの特殊な技術と設備を通して、患者さんに投与される薬剤の品質を保証すること、そして流行感染病の制御、栄養の管理、また投与された薬物の投与量の設計を考え、製薬会社と共に医薬品の品質調査にも力をいれています。また入院された重篤な患者さんに対しては、専任薬剤師を通し、投与された薬物の有効性・安全性の確保に積極的に取り組んだ活動も行っています。 これからの病院薬剤師は幅広い知識と経験を基本に各分野へのスペシャリストとなり、近い将来で考えると2025年以降の大きな課題でもある高齢社会への備えとして、様々な疾患に対応できる専門薬剤師を在籍させ、診療の場面でその専門性を発揮しながら、他の医療スタッフへの知識も向上させ、次世代の将来を担う地域の薬学生にも、当院での実務実習を通して専門知識を教えていく事で将来のいわき市地域に貢献をしていきます。
また患者さんからのご意見・ご要望を聞かせていただくことも、私たちの職能を一段ずつ高める成長へとつながります。ご質問・ご意見等があれば遠慮なくお話を聞かせていただけたらと思います。そして、これからも患者さんとそのご家族に最適な薬物療法を提供できるよう努力し、福島県いわき市で業務展開をしていきたいと考えております。
業務紹介
調剤
薬剤師の基本の業務です。
電子カルテシステムや調剤支援システムを活用した処方せんチェックをし、疑問があれば必ず問い合わせて確認した後、その処方せんに従って調剤、監査を経て、患者さんに薬をお渡しします。
注射薬
注射薬は一般的に飲み薬より副作用が強いため、特に慎重に投与しなくてはなりません。薬剤部ではオーダリングシステムや調剤支援システムによる投与量、相互作用のチェックも行っており、患者さんが安全で適正に治療を受けられるよう、万全を期しています。注射剤も、患者さんごとに分けて病棟へ送り届けています。
製剤
治療上有効であっても市販されていない薬品など、医師の依頼に基づいて、病院独自の薬品を調製します。
薬品管理
薬品がいつも最適の状態で使用できるように、品質(温度、湿度、光、有効期限など)には十分注意をしながら管理しています。また、正しく使用されているか、在庫管理システムによる各薬品の在庫も管理します。
化学療法
がん化学療法をうけている患者さんのための注射薬を、投与量、配合変化や相互作用などのチェックをし、無菌的に混合、調製します。
医薬品情報
薬の情報と一口でいっても、投与方法、投与量、相互作用、副作用などひとつの薬の中にも山ほどの情報があります。それらの情報を整理、加工して医師や看護師に提供したり、薬に関する問い合わせに答えたりします。
薬剤管理指導業務
入院している患者さんに、お薬の飲み方や薬効などの説明、アレルギーや副作用発現の回避、またはそれらを早期に発見し悪化を防ぐなど、安全で効果的な薬物治療に貢献しています。
持参薬管理
入院される患者さんに、普段のんでいるお薬を持参していただき、治療にそったお薬をのめるように調べて管理します。
薬剤師外来
入院が決まった患者さんのお話やお薬手帳を参考にして、入院後に患者さんが安全に治療を受けられるよう中止する必要のあるお薬等を確認し、他の医療スタッフとその情報を共有していきます。
がん化学療法地域連携
外来で抗がん剤の点滴を行う患者さんに対して、地域の調剤薬局と連携して安全ながん化学療法が行えるよう努めています。
治療のスケジュールや副作用の説明を行い、治療内容(レジメン)・副作用の発現状況・臨床検査値等を確認し、外来化学療法報告書・お薬手帳シールをお渡ししています。
チーム医療への参画各部門の専門家が協力し合い、職能を活かすことによって、医療の質の向上を目指しています。
感染制御対策チーム(ICT)
医師、看護師、臨床検査技師などと共に、院内感染防御や消毒薬、抗生剤の使用状況の把握などを行っています。
緩和ケアチーム
薬剤師の他に、医師、がん性疼痛認定看護師、MSW、臨床心理士、理学療法士、管理栄養士で構成され、週1回病棟からのコンサルテーション依頼に応じラウンドを行なっています。 薬剤師は医薬品情報提供や服薬指導を行い、薬物治療のサポートをしています。
専門的な知識を活かし、医療スタッフがチームを組むことで、より良いがん緩和治療を目指しています。
栄養サポートチーム(NST)
薬剤師1名がチームのメンバーとして活動しています。
週1回の回診・カンファレンスに参加、病棟の担当薬剤師と情報の共有化し、輸液や経管栄養剤の処方や投与法についての検討・提案を行なっています。
チーム内で勉強会を開催し、知識の普及・啓発に努めています。
NST専門療法士実地修練の講義を担当しています。
褥瘡対策委員会
医師、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士を中心に、月一回の委員会と月二回の回診を行い、褥瘡ケアや予防に努めています。薬剤師は薬剤の選択などについて情報提供をしております。又、NSTや他職種と積極的に連携を図り、患者さんの褥瘡ケアと予防に貢献する取り組みを行っています。
実務実習
早期体験学習や、独自の実習書を用いることにより、 薬学部6年制実務実習モデルコアカリキュラムに対応した実習を行なっています。
専門・認定薬剤師及び施設基準認定等の取得状況
資格 | 有資格者数 |
日本病院薬剤師会生涯研修履修認定薬剤師 | 3名 |
日本病院薬剤師会薬学認定薬剤師 | 5名 |
日本薬剤師研修センター認定薬剤師 | 7名 |
日本病院薬剤師会認定指導薬剤師 | 7名 |
日本薬剤師研修センター認定実務実習指導薬剤師 | 6名 |
日本臨床栄養代謝学会NST専門療法士 | 2名 |
日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師 | 3名 |
日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師 | 2名 |
公認スポーツファーマシスト | 1名 |
日本医療情報学会医療情報技師 | 1名 |
日本臨床腫瘍薬学会外来がん治療認定薬剤師 | 1名 |
日本緩和医療薬学会麻薬教育認定薬剤師 | 1名 |
日本骨粗鬆症学会骨粗鬆症マネージャー | 1名 |
国際医療リスクマネージメント学会高度医薬品安全推進者 | 1名 |
安全衛生技術試験協会第一種衛生管理者 | 1名 |
一般社団法人薬学教育協議会 薬学生実務実習受入施設 |
一般社団法人日本病院薬剤師会 がん薬物療法認定薬剤師研修施設 |
がん化学療法
連携充実加算について
当院では、外来がん化学療法において保険薬局や他の医療機関との連携を強化する目的
で、2020年10月より連携充実加算の算定を開始しております。それに伴い、がん化学療法
のレジメン内容や副作用の発現状況を記載した「外来化学療法報告書」を患者さんへお渡し
しております。
「外来化学療法報告書」の副作用欄には、外来診察前に行っている副作用チェックシート
の内容を記載しております。副作用チェックシート及び当院における血液検査基準値一覧
を掲載いたしますのでご参照ください。
当院への情報提供が必要と判断された場合、下記のがん専用トレーシングレポートを活
用し、ご報告いただきますようお願いいたします。
※緊急性のある場合は疑義照会またはお電話にてご連絡ください。
当院におけるがん化学療法レジメン一覧を掲載いたしますのでご参照ください。